乳房（おっぱい）の張り、痛み
乳房の張りや痛みは、ほぼ全ての女性が経験する症状です。そのほとんどが女性ホルモンの影響によるものであり、病気である事はほとんどなく、多くの場合心配はいりません。ただし、それは検査によって異常がない場合に判断するものであり、乳腺炎など治療が必要な場合や、痛みで受診して偶然乳がんが見つかることもあるため、放置せずにぜひ検査を受けてください。
乳房の張り、痛みの原因
乳腺症
乳腺症は、乳房に張りや痛みを引き起こしたり、乳房がコリコリと硬く触れたりする、良性の状態です。原因としてホルモンバランスが影響しています。ホルモンバランスが悪いから痛む、ということではなく、変動するホルモンバランスに対する乳腺の正常な反応の結果として痛みを感じているので、問題はありません。
乳腺症について乳腺炎/乳腺膿瘍
乳房に炎症が起こると痛みを生じます。乳腺炎になると、痛みに加えて乳房が赤く腫れたり熱を持ったりします。乳腺炎は抗生剤での治療が必要であり、さらに悪化して膿がたまると（乳腺膿瘍）、外科的に切開排膿が必要になる場合もあるため、早めに受診してください。
乳腺線維腺腫・葉状腫瘍
線維腺腫や葉状腫瘍は、乳腺内にできる良性の腫瘍です。しこりの硬さや場所、大きさによりますが、しこりが周囲の正常乳腺を圧迫して乳房に張りや痛みを感じることがあります。この場合、月経周期に関連して症状が変化することがあります。
乳がん
乳がんは痛みを伴わないことがほとんどですが、進行すると乳房の変形や痛みを引き起こすことがあります。
乳がんについて炎症性乳がん
炎症性乳がんは、乳房の皮膚に炎症を引き起こす稀ながんで、乳房が赤く腫れ、皮膚が浮腫んでオレンジの皮のように硬くなるのが特徴で、乳腺炎のような痛みも伴います。
炎症性乳がんは進行が早いため、上記のような症状がある場合はすぐに受診してください。
皮膚の感染症（蜂窩織炎）/帯状疱疹
乳房の痛みは、乳腺炎以外にも皮膚の感染症や帯状疱疹などが原因で起こることがあります。感染症による乳房の痛みは、しばしば赤みや腫れ、発熱を伴います。
＊蜂窩織炎：皮膚および皮下の組織に広がる細菌感染症で、小さな傷から細菌が入ることで皮膚に炎症が起こります。
この場合、痛みに加えて赤みや腫れを伴います。
＊帯状疱疹：水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。胸部に発症すると、左右どちらか一方の乳房に痛みが出て、それに前後して小さい水ぶくれのような発疹が出現します。
発疹と痛みは身体の同じ側で乳房以外にも広がっていきます。
