乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)について
乳腺嚢(のう)胞について
乳がん検診で超音波検査を受けると、「乳腺嚢(のう)胞」と書かれている事がよくあります。検診結果では経過観察となる所見ですが、心配で受診される方が結構いらっしゃいます。
乳腺嚢胞とは、乳腺から出る分泌物がたまった袋のことをいい、乳管が広がって内部に分泌物が溜まった状態です。エコー検査で偶然見つかったり、場所や大きさによってはマンモグラフィで見えることもあります。
乳腺嚢胞の発症には、女性ホルモンの影響が関係していると言われています。
若い方から高齢の方まで幅広くみられる所見ですが、比較的若い方でよく見られ、閉経を迎えると女性ホルモンの活動が減少するため、乳腺嚢胞ができるのも少なくなります。
触るとしこりのように感じられることもありますが、症状がなく乳がん検診の際に偶然発見されることが一般的です。嚢胞が大きくなると、周囲の乳腺が押されて乳房に張りや痛みなどの症状が出ることもあります。
乳腺嚢胞の種類
嚢胞にはいくつか種類があり、場合によっては注意が必要なものがあります。
単純性嚢胞
先ほどご説明した、女性ホルモンの影響で分泌物が溜まってできる嚢胞は「単純性嚢胞」といいます。一般的に「乳腺嚢胞」と記載されているものはこれにあたります。
通常、乳腺嚢胞は特に治療を必要とせず、そのままにしておいても問題ありません。
嚢胞内にたまった分泌物は増えたり減ったり変化します。小さい嚢胞は自然に消失することもありますが、溜まって大きくなり痛みを伴う場合や、しこりが気になる場合には、針を刺して中の液体を吸引する処置を行うことがあります。
濃縮嚢胞
単純性嚢胞の中の分泌物はサラサラした液体ですが、この液体が蛋白成分などによってドロッと粘りが増したり、凝固して硬くなったりする事があります。このような嚢胞を「濃縮嚢胞」と言います。
濃縮嚢胞も良性変化によるものなので特に問題はありませんが、しこりとの区別が難しい場合もあり、細胞や組織を採取して検査することもあります。
嚢胞内腫瘤
嚢胞の袋の中に液体成分だけでなく、しこり(細胞成分)があるものを、「嚢胞内腫瘤」といいます。
嚢胞内にしこりがある場合、良性の乳頭腫や悪性の嚢胞内癌などが鑑別としてあがってくるため、さらに詳しい検査が必要になる場合があります。
小嚢胞集簇・集簇嚢胞
単純性嚢胞が乳房内に複数見られる事はよくあり、問題はありません。この場合それぞれが単発でポツポツとできますが、小さな嚢胞が1か所に集まっていて、超音波でハチの巣の様に見える事があります。多くは「乳腺症」と言われる良性の変化によるものですが、Stage0の非浸潤癌(乳管内にとどまっている乳癌)でも同じ様に見える事があります。
小さな嚢胞が限局して集まっている時は、慎重な経過観察もしくは精密検査が必要になります。
乳腺嚢胞のよくある質問
乳腺嚢胞ができる原因はなんですか?
乳腺嚢胞が癌になる可能性はありますか?
乳腺嚢胞は治療が必要ですか?
乳腺嚢胞と診断されたらどうしたらいいですか?
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