乳がんのセルフチェックについて
セルフチェックは、自分自身で乳房の変化や異常に気づくための自己検査です。セルフチェックを効果的に行うためには、毎月一定のタイミングで正確な方法を用いて定期的に実施し、何か異常を感じたら速やかに乳腺専門クリニックに相談することが重要です。
セルフチェックの最適なタイミング
乳房の状態は、月経周期に伴って変わります。この周期的な変化を考慮してセルフチェックを行うことで、小さな変化を見逃しにくくなります。一般的に、セルフチェックは月1回の頻度で推奨されていますが、具体的な日付を固定してしまうと、月経周期のずれによりチェックする時の乳房の状態が同じでない可能性があります。そのため、乳房が柔らかくなり検査しやすい、月経が終わってから1週間以内をセルフチェックの理想的なタイミングとして推奨しています。閉経後の方は、毎月同じ日にチェックを行うようにしてください。
セルフチェックのやり方
鏡の前で見て確認
鏡の前に立って、乳房の形状や色に異常がないかを観察します。乳房の皮膚や乳頭に変化が見られないか、左右比較しながらチェックします。手を挙げて、そして手を下ろして、皮膚の凹みやひきつれ、湿疹やただれ、色の変化を確認します。また、乳頭の陥没や乳房の大きさ、形状に左右差がないかも観察しましょう。
乳頭の検査
両方の乳頭を軽くつまみ、分泌物が出ないかを確認します。分泌物がある場合、しこりが感じられなくても、専門の乳腺外科で相談することをお勧めします。
脇の検査
脇のリンパ節(腋窩リンパ節)は、乳がんが転移しやすい部位です。脇の下を触って、しこりがないかを慎重に確認してください。
しこりの有無をチェック
手を使って乳房全体を慎重に触ってしこりがないか確認してください。右の乳房を検査する際は左手を、左の乳房を検査する際は右手を使用します。右の乳房を調べるときは、右腕を頭の上に伸ばすと、乳房の外側部分をより詳細にチェックできます。乳房の下側や中央部分など、見落としがちなエリアも丁寧に確認しましょう。
乳がんが発症しやすい場所
乳がんの発症箇所は乳房内の特定の場所に偏りがあることが知られています。全国の乳がん患者データを集めた調査報告によると、最も発生率が高いのは外側上部で、全体の約50%を占めています。特に外側上部のエリアに対しては、セルフチェック時に細心の注意を払い、丁寧に観察することを意識してください。
ブレストアウェアネス(breast awareness)
乳がんは、日本人女性の9人に1人の割合で罹患する、女性にとってとても身近ながんです。発症のピーク年齢は40代後半~60代ですが、早いうちから自分の乳房の状態を意識することで早期発見・早期治療につなげることができます。
「ブレストアウェアネス(breast awareness)」とは、日頃から自分の乳房を大切にし、意識する生活習慣の事で、世界的に提唱されている考え方です。自分の乳房に関心を持つことで変化に気づきやすくなり、乳がんの早期発見につなげることができます。ブレストアウェアネスでは、ぜひ身につけていただきたい4つの習慣があります。
- ① 自分の乳房の状態を知る:見てさわって感じる→セルフチェックを参照
- ② 乳房の変化に気づく:しこりや皮膚の変化、乳頭分泌など→セルフチェックを参照
- ③ 変化に気づいたら専門の医師に相談する:当院へご相談ください
- ④ 乳がん検診を受ける:40歳になったら定期的に乳がん検診を受けてください
乳房に感じる変化全てが乳がんの症状とは限りませんが、早期発見につながる可能性があります。ぜひ普段から自分の乳腺を大切に意識して、変化に気づいた時は乳腺外来へご相談ください。